Q.ガラスを作りはじめたきっかけを教えてください。 .以前より骨董市によく出かけていて、そこで見る大正時代の乳白の氷カップが好きで・・・。
そのカップに自分で作ったお菓子やらアイスクリームなんかを入れて食べたいな、
と思ったのが最初にガラスに興味を持ったきっかけです。

楽しさばかりを想像していましたが、はじめてみると実は大変な肉体労働でした!

   
       
  Q.出身は京都でその後金沢に移り住みますが、
金沢の気候や環境が作品づくりに与えた影響を
教えてください。
東京ガラス工芸研究所を卒業して、石川県の能登島ガラス工房に就職し、そこで
3年半勤めました。
その後独立し、市内の工房で製作しています。

金沢の長い長い冬、体にしみいる寒さ、灰色の空。
関西で生まれ育った私は、はじめの頃ははまぶしい太陽が恋しくて恋しくて仕方なかった日々が
続きました。(今でもですが・・・。)
今では少しずつですが、長い冬の過ごし方を自分なりにつかんできて、雪の日はこもって
制作をしたり保存食を仕込んだりと家仕事も楽しんでいます。

雪がチラチラと降ってくる様子、氷の塊、つらら、冷えて澄んだ夜の空気と星の光。
体がピリッと引き締まる感覚。
その時感じる感覚がガラスにもそのままあらわれてきていると思います。
   
       
  Q.自分の作品に対するこだわりと、制作の発想と
なるものは?
たゆたゆと熱くやわらかく空気と溶け合うガラス。
時が積もり風化した化石のような静かな肌合いのガラス。

光と影、聖と俗、虚と実。
そんな両極の魅力をもつガラスという素材。
自分の中にあるそれぞれの極と、共に絵を描いていく。
ガラスを通して湾曲に映しだされた景色、かたまりのガラスの中に流れる世界。
そんな透きとおった時間が漂う場所を見つけるために私は作りつづけているのだと思います。

一番きれいだなと思うのは、ガラスが溶けてオレンジ色の流動体の状態のとき。
その素材感を大切に、できるだけ余計な力は加えず、遠心力と熱の力とでガラスが自然に
動きたいように、なりたい形になればいいと思う。
(meltシリーズやたゆたう器シリーズなどにその特色がよく表れています。)

そして冷え固まった後のガラスにも、その時の記憶が残るような作品を作っていきたいです。

   
       
  Q.最後に今井さんの好きなもの、好きな場所など、
好きな○○を教えてください。

古いもの、甘いもの、たっぷりとした白磁・青磁、映画(パラジャーノフ、ヴェンダースなど)、
東洋陶磁美術館、図書館、神社、自宅や工房のまわりの山々や川。

仕事を通じていろいろな方に出会えたり、いろいろな場所に行く機会をもてて幸せです。
6/13(土)からのシンゴスターの個展でもみなさんとお会いできることを楽しみにしています。